【界面科学シリーズ】第7回 初めて学ぶ滑落角

💡 今回のハイライト
- 滑落角とは何か、接触角との違いを感覚的に理解したい
- 水や汚れが「残る・落ちる」の違いを正しく評価できるようになりたい
- 目的に応じて接触角と滑落角を使い分けられるようになりたい
こんにちは! 受託測定課 です!
前回は固体と液体の相性の指標「接触角(ぬれ性)」について紹介しました。
今回はその続きとして、液滴が動き出す瞬間に関係する「滑落角」のお話になります!
身の回りに潜む現象と一緒にわかりやすく紐解いていく内容ですので、ぜひ最後までご覧ください!
<滑落角とは?>
例えば、フライパンに少量の油をたらした場面を思い浮かべてみてください。
フライパンを水平に置いていると、油はその場にとどまっていますが、少しずつ傾けていくと…
「動かない…まだ動かない…あ、今動いた!」
この「今動いた!」ときのフライパンの傾き具合が滑落角です。
軽く傾けただけで油がスーッと流れれば滑落角は小さく、
しっかり傾けないと動かない場合は滑落角が大きいという考え方になります。
つまり滑落角は、液滴がいつ動き出すかを見る指標といえます。
<接触角と何が違うの?>
接触角と滑落角は、どちらも「角度」で表されますが、見ているポイントは全然違います。
前回紹介した接触角は液滴が固体表面でどれくらい広がるかを見ています。
一方、滑落角は液滴が固体表面につかまらずに動き出せるかを見ています。
そのため、液滴の見た目が丸くていかにも液体をはじいていそうでも、
実はなかなか落ちないということも、普通に起こります。
これは、液滴が固体表面に強く付着し、動こうとしても止められてしまうためです。
接触角が静止しているときのぬれやすさ、
滑落角が動き出すときの離れやすさと考えると分かりやすいかもしれません。
<なぜ「滑落角」が大事なの?>
「撥水性」と聞くと、まず接触角を思い浮かべる人も多いと思います。ただ、実際に製品で求められるのは、
- 水や汚れを残したくない
- 使ったあとにベタっとしない
- 水が自然に流れてほしい
といったことが多いです。
つまり、本当の目的は液体をはじくことより、液体を取り除くことである場合が多いのです。
このとき、水平な状態だけを見る接触角では少し物足りないことがあります。
なぜなら、実際の製品は傾いて使われることが多く、 液体は「流れる・落ちる」という動きをするからです。
滑落角は、こうした動きのある状態をシンプルに評価できる点が強みです。 たとえば
- 車のフロントガラス
- 建材や外装
- キッチンや洗面まわり
- 防汚・防水コーティング
などでは、固体表面ではじかれるかよりも、固体表面に残らないかが重要になります。
そうした場面で、滑落角はとても分かりやすい指標になります。
<接触角と滑落角、どっちを使えばいい?>
覚えておいてほしいのは、接触角と滑落角はどちらが上・下という関係ではないということです。
- 表面の性質そのものを知りたい → 接触角
- 実際に水がどう動くかを知りたい → 滑落角
と、見たいポイントが違うだけなのです。
だからこそ、何を評価したいのか、実際にはどう使われるのかを考え、
適切な評価方法を選ぶことが大切になります。
滑落法による撥水性と液除去性の評価はこちら
滑落角測定による固液間の付着性の評価方法はこちら
液除去性評価はこちら
<まとめ>
ここまでご覧いただきありがとうございました。
次回は、界面科学シリーズ第8回として「接触角・滑落角の測定方法」を紹介します。
私たちと一緒に界面科学について学びましょう!どうぞお楽しみに!





