液除去性評価
ポイント
固体表面の液除去性評価。
キーワード ヒステリシス、付着エネルギー、液除去性
1.はじめに
一般的に撥水性の評価と言えば水平面での接触角評価が思い浮かべられるが、撥水性評価の主な目的としては、液除去性であることが非常に多い。液除去性の評価においては水平面での接触角の評価だけでは評価することは難しく、前進角と後退角の差であるヒステリシスや付着エネルギーでの評価が有効である。 一般的には、この接触角ヒステリシスと付着エネルギーは正の相関があることがわかっているが、やはり実際のサンプルの評価は、現場での評価に近しい測定状況での評価が好ましい。
2.ヒステリシス
拡張・収縮法や滑落法では前進角と後退角を評価することができるが、前進角の低さで液のぬれ広がりやすさを評価できるのに対し、後退角の低さは液の留まりやすさを評価できる。前進角と後退角の差であるヒステリシスが小さいことは、液が除去しやすいことを示す指標となる。
3.付着エネルギー
一般的に液の滑落角は液量依存性があり、液量が多くなると浅い傾斜角で滑落する様になり、液量が少ないと高い角度で滑落する様になる。
測定サンプルである固体試料表面の性質の違いによって液量を揃えて評価することが難しいことがあり、滑落角による評価ができなくなる。こういったケースでは、付着エネルギーによる比較を推奨している。当社の滑落法測定に付属している付着エネルギーによる評価では、液滴が滑落をし始めた傾斜角での水平方向成分の重力による力を、固体表面に接触している液滴の周囲長で割ることで付着エネルギーを求めている。この付着エネルギーの評価であれば、異なる液量の測定においても、そのまま比較することが可能である。
固体と液体との間に付着エネルギーがある以上、90度傾斜させても滑落しないケースもある。この場合は、ヒステリシスでの評価ではなく、付着エネルギーでの評価によって、どの液量以上で滑落が発生するかを見極めることが可能である。