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粉体接触角とは

粉体接触角とは、粉体表面に対する液体のぬれやすさを接触角として評価する手法です。液滴法や浸透速度法(Washburn法)を用いることで、粉体層への液体浸透や表面特性を定量的に解析できます。塗料、電池材料、医薬品、分散技術など、粉体と液体の相互作用が重要な分野で広く利用されています。

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粉体接触角とは

粉体接触角とは、粉体表面に対する液体のぬれやすさを接触角として評価する手法です。
一般的な平板試料だけでなく、粉体層への液体の浸透挙動から見かけの接触角を求めることで、粉体の表面特性を定量化できます。浸透性をぬれ性の観点から評価できるため、塗料・顔料の分散工程、医薬品の造粒、電池材料への電解液含浸など、粉体と液体の相互作用が重要となる産業分野で広く活用されています。

浸透性とぬれ性の関係

浸透とは、多孔質体の内部や粉体の隙間へ液体が入り込んで広がる現象を指します。
「浸透性が高い」ことは「ぬれが良い」ことと密接に関係していますが、浸透性は粒子間の空隙構造や毛細管力、液体の粘度などにも影響されるため、厳密には同じ意味ではありません。しかし一般に、液体が固体表面によくぬれるほど粉体層や間隙への浸透が起こりやすくなることから、浸透性の目安としてぬれ性を評価指標に用いることができます。

簡便な評価手法

粉体のぬれ性を評価する方法として最も簡便なのは、液面に粉体を振りかけ、粒子の沈降挙動を観察する方法です。
ぬれが良い場合は速やかに沈み、ぬれが悪い場合は表面に浮いたままになるため、以下の動画に示すように沈降の挙動から粉体と各液体のぬれ性が大まかに分かります。
図1 各種液体における黒鉛粉体の沈降挙動(左から蒸留水、界面活性剤水溶液、エタノール)
本手法は手作業で実験できる簡易な定性的評価として用いられることが多いものですが、表面張力計「DyneMaster」シリーズでは専用の測定子を使用することで、分散媒中で測定子に沈積した粉体の重量を記録できます。これにより、粉体の浸透性や初期ぬれ性、沈降性を定量的に評価することができます。
沈降性測定のイメージ
図2 沈降性測定子を用いた重量変化測定イメージ

当社で可能な測定

当社では以下の装置群で粉体の接触角を定量評価できます。
装置名 装置型式 測定手法
接触角計 「DropMaster」シリーズ 液滴法
極小接触角計 「MCA」シリーズ 液滴法
表面張力計 「DyneMaster」シリーズ 浸透速度法、Washburn法
【接触角計での液滴法】

接触角計「DropMaster」シリーズでは、粉体をペレット状に圧縮成形したり、平板にまぶしたりして形成された粉体の層に、数マイクロリットルの液滴を乗せる「液滴法」で接触角を測定できます。

本手法では測定に数mm角の面積を要するため、粉体と空気で形成されるモザイク状の表面に水滴が乗ることになります。そのため厳密には、粉そのものの接触角ではないことに注意が必要です。また、表面で固着していない粉が液滴表面にまとわりついたり、粉体層表面の粒子による凹凸などで、解析が難しいことも多いです。

粉体を平板状にして接触角測定をするイメージ
図3 粉体層での接触角測定イメージ
【極小接触角計での液滴法】

極小接触角計「MCA」シリーズも液滴法による接触角測定が可能な装置ですが、接触角計「DropMaster」シリーズよりも微小な液滴(pLオーダー)を滴下することができます。そのため、粒径によっては粒子1つに対する接触角を測定することが可能です。ただし、数十μm以下の微粒子や球形から遠い不定形の粒子では測定できない場合もあり、適用範囲は限られます。

粒子1粒に液滴を乗せて接触角を測定するイメージ
図4 粒子1粒での接触角測定イメージ
【表面張力計での浸透速度法、Washburn法】

表面張力計「DyneMaster」シリーズの一部装置ではオプションを使用することで、毛管現象を利用した浸透速度法(Washburn法)で粉体の接触角を間接的に数値化することができます。

図のように、粉体を詰めた筒状の容器(カラム)の一端を液面に触れさせると、粉体の隙間に液体が毛管現象によって浸透していきます。このとき、経過時間に対する液体の空隙への浸透高さ、つまり浸透速度は、以下のLucus-Washburn式で記述されることが知られています。したがって、浸透高さLが分かれば、粉体と液体の接触角θを求められるというわけです。

Washburnの式
粉体カラムの断面イメージ カラムに赤い液体が浸透していく様子
図5 浸透速度法の測定イメージ
なお、この浸透高さの計測は現実には難しいため、実際には重量変化を記録し、Lucus-Washburn式を変形した式から粉体接触角を計算しています。経過時間に対する浸透重量をプロットすると、初期は重量が直線的に増加し、いずれ平衡に達するようなグラフが概ね得られます。この直線性をもつ範囲から浸透速度も求められます。
経過時間に対する浸透重量変化のグラフ
図6 経過時間に対する浸透重量変化のグラフイメージ
浸透速度法(Washburn法)は粉体だけでなく、紙などの多孔質体への浸透性評価にも同様に応用されています。
ただし、液体が毛管現象によって浸透することが前提となっているため、疎水性の表面処理やカラムへの充填状態などによっては測定に適さない粉体も存在します。それでも、前述した液滴法(直接測定)では測定が難しかったり、解析や結果の解釈が悩ましかったりする場合も多いため、浸透速度法(Washburn法)は粉体の接触角測定手法として最も広く用いられています。

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