【界面科学シリーズ】第19回 摩擦摩耗試験での重要な条件②「荷重」と「速度」の世界

💡 今回のハイライト
- 同じサンプルでも、速度と荷重を変えると摩擦係数が変わる理由を知りたい
- 実環境に近づけるための条件設定のコツを学びたい
- 測定条件を振って評価することの意味を理解したい
こんにちは! 受託測定課 です!
前回は摩擦摩耗試験の重要な条件のひとつ「接触子」についてご紹介しました。
点接触・線接触・面接触・R接触子など、形状や材質によって試験結果が変わることをお話ししましたね。
今回は、接触子と並んで欠かせない条件「速度」と「荷重」について解説します!
この2つは、接触子と合わせて摩擦摩耗試験の結果を大きく左右する、いわば試験条件の要なんです。
<速度で何が変わるの?>
スマートフォンの画面を指でゆっくりなぞる時と、素早くスワイプする時では、
指の動かしやすさや滑らかさが違って感じられることはないでしょうか?
このように、同じ材料同士でも、動かす速度が変わると摩擦の状態が変化することがあります。
接触面では、材料がわずかに変形したり、摩擦熱が生じたりしています。
動かす速度が変わると、材料が変形に追いつく度合いや、熱がたまる度合いも変わります。
その結果、動摩擦係数(動いている間の摩擦の大きさ)が変化することがあるのです。
速く動かせば必ず摩擦係数が大きくなる、あるいは小さくなる、というわけではありません。
材料や表面の状態によって傾向が異なるのです。奥が深いですね!
<荷重で何が変わるの?>
柔らかい消しゴムの角を、机にそっと押し当ててみてください。
次に、少し強く押すとどうでしょう?
角がつぶれて、机に触れる部分が広がりますよね。
この「押し付ける力」を荷重と呼びます。
摩擦の基本法則では、「摩擦力は荷重に比例する」とされており、
この法則に従えば、荷重を変えても摩擦係数(摩擦力÷荷重)は一定になるはずです。
ところが、実際の試験ではそう単純にいかないこともあります!
消しゴムの例のように、柔らかい材料は荷重によって変形し、接触のしかたが変わります。
また、薄いフィルムやコーティングでは、荷重が大きすぎると表面層が傷むこともあります。
つまり、荷重を変えることは、単に「押す力」を変えるだけではなく、
材料の変形や表面の状態も変化させるため、摩擦係数にも違いが出ることがあるんです!
<条件設定のコツは「実環境に近づける」&「条件を振って評価する」>
では、速度と荷重をどう決めればよいのでしょうか。ポイントは2つあります。
① 製品が実際に使われる環境(実環境)に近づける
・スマートフォンの画面を指でなぞる動作を再現したいなら、ゆっくり・軽い力で測定
・印刷・フィルム搬送のような場面を再現したいなら、実際の速度・荷重で測定
② 1点だけでなく、条件を振って評価する
速度や荷重を段階的に変えて測定することで、その材料が持つ特性がより見えてきます。
低荷重では問題なくても、高荷重になると急激に摩擦係数が変化する材料もあるんです。
1点だけの測定では、こうした変化を見逃してしまうかもしれません!
<まとめ>
前回ご紹介した接触子の選定と合わせて、「接触子・速度・荷重」の3条件をセットで検討することが、
実環境を再現した試験の第一歩といえます。
摩擦係数は決して「モノ固有の値」ではなく、
「測定条件によって決まる値」だということを、ぜひ覚えておいてくださいね!
ここまでご覧いただきありがとうございました!
次回は摩擦測定から離れて、「防曇性評価」についてご紹介します。
温度差があると、なぜ表面が曇るのでしょうか?
また、曇りにくさはどのように評価するのでしょうか?
界面で起こる現象を評価する方法として、防曇性の仕組みや測定の考え方をわかりやすく解説します。
ぜひご期待ください!




