分散媒の違いによるゼータ電位の差異
概要 同じ粉体でも分散させる溶媒に応じてゼータ電位が異なることを当社のゼータ電位計で確認する。
< 関連ワード:分散液(懸濁液、スラリー)、分散媒(溶媒、液体)、分散安定性、希薄、物性、ゼータ電位 >
1. ゼータ電位測定における重要な関連事項
ゼータ電位とは、液体中に分散している粒子の表面電荷であり、静電的な反発力として働くため、分散安定性の指標とされている。粒子表面の状態(官能基、添加剤の吸着など)は言うまでもなく関係するが、その粒子周囲の溶媒の状態(溶媒種類、pH、添加剤濃度など)も大きく影響を与える。そのため、分散安定性を向上させるには、様々な要因の良し悪しの見極めが必要となる。
2. 希薄系ゼータ電位計ZC-3000の紹介

本稿では、ZC-3000を用いてアルミナ粉末を4種類の分散媒に分散させた際のゼータ電位を比較した事例を紹介する。
3. 測定条件・結果および考察
アルミナ粉末を以下の4種類の分散媒に少量入れ、超音波分散させてZC-3000でゼータ電位を測定した(図2)。
<分散媒(粘度、誘電率)>
・水(0.87 mPa・s、77.6) ・エタノール(1.07 mPa・s、24.6)
・アセトン(0.32 mPa・s、21.3) ・IPA(2.37 mPa・s、19)
一般的に、ゼータ電位の絶対値が大きいほど分散安定性がよく、25 mV以上で凝集しにくくなるといわれている。図2より、ゼータ電位の絶対値は「IPA」 < 25 mV < 「アセトン」 < 「水」 ≦ 「エタノール」であることがわかる。つまり、アルミナ粉末は「IPA」分散では凝集しやすく、「水」や「エタノール」分散で比較的安定状態を維持できるといえる。
4. まとめ
同じ粉体試料であっても、分散させる分散媒が異なれば粉体のゼータ電位は変化し、分散安定性も異なることがわかる。分散媒によってゼータ電位の符号が入れ替わることもあり、その影響で付着性も異なるため、分散媒の使い分けもゼータ電位における重要な要因であるといえる。





