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  3. ゼータ電位測定における希釈液の重要性

ゼータ電位測定における希釈液の重要性

概要  光学系のゼータ電位計では、試料を適切な濃度に希釈する際に正しい希釈液を用いることが重要である。

関連ワード:分散液(懸濁液、スラリー)、分散剤(添加剤)、分散安定性、希釈、希薄、光学、ゼータ電位 >

1. ゼータ電位測定のための希釈に関する課題

 光学系のゼータ電位計では、ほとんどの場合測定のために試料を適切な濃度に希釈する必要がある。その希釈において、誤った希釈液を用いると粒子周囲の溶媒の状態が変わり、これに応じて粒子の帯電状態も変化してしまう。例えば、添加剤が含まれる分散液を希釈する際、主溶媒のみで希釈を行うと希釈前後で添加剤の濃度が変化する。この濃度変化により、粒子表面を覆っていた添加剤が簡単に乖離することで表面状態が変化しているといえる。
 希釈の際には、添加剤の濃度以外にもpHの変化やコンタミネーションにも注意する必要がある。

2. 希薄系ゼータ電位計ZC-3000の紹介

 当社のZC-3000は、測定原理に顕微鏡電気泳動法を採用している。試料に直流電圧を印加して粒子を電気泳動させ、そこに光を照射して生じる反射光を顕微鏡で観測する。その観測した泳動挙動からゼータ電位を算出する。そのため、粒子1つ1つを観測できる濃度まで希釈を行う必要がある。本稿では、ZC-3000を用いて、希釈方法の違いによるゼータ電位の測定結果への影響を比較した事例を紹介する。

3. 測定条件・結果および考察

 5 wt%アルミナ/水分散液20 mLに43 wt%ポリカルボン酸系分散剤水溶液を10 µL添加し、分散液を調製した。この試料を以下の3条件で測定した(図2)。
  ・水単体(20 mL)で希釈し、ZC-3000で測定
  ・水(20 mL)+分散剤(10 µL)の水溶液で希釈し、ZC-3000で測定
  ・原液のままZetaProbe(Colloidal Dynamics社製)で測定
図2より、分散剤の濃度を保ったまま希釈した「条件②」は、原液のまま測定した「条件③」とほぼ同じゼータ電位となったことがわかる。

4.  まとめ

 光学系のゼータ電位計では、原液のまま測定を行える装置はほとんどなく、多くの場合希釈を要する。その希釈作業において、正しい希釈液を用いれば、原液の状態で評価した時とほぼ同じ結果を得ることができるが、誤った希釈液では結果が大きく異なる。そのため、正しい希釈液の選定がゼータ電位測定の鍵を握る。

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