沈降性測定による初期分散性評価
概要 製造プロセスの初期段階における粉末の初期ぬれ性を評価するための簡便な手法として、沈降性測定を紹介する。
< 関連ワード:粉末(粉体)、分散媒(溶媒、液体)、初期ぬれ性(分散性)、沈降性、塗料、化粧品、食品、製造 >
1. 初期製造プロセスにおける課題
塗料・化粧品・機能性材料・食品などの製造プロセスの初期段階において、目的とする機能を発現させるために、粉末状の主要素材を分散媒やバインダーと混錬した微粒子分散系を扱う。この際、粉末と分散媒の相性である初期ぬれ性が凝集の生じやすさに関与し、分散系の性能に大きな影響を与える。
2. 初期分散性評価における沈降性測定の有用性

沈降性測定の方法は、専用の治具を用い、表面張力計の電子天秤を応用して行う。初期分散性を評価する場合は、分散媒中に測定子を入れた状態で0点をとり、そこに粉体を入れ、測定子に沈積した粉体の重量から評価する。初期分散性の良い粉末ほど沈降しやすいため、重量が重くなる。本稿では、ココアパウダーの初期分散性を評価した事例を紹介する。
3. 測定条件・結果および考察
純水の入ったビーカーに3種類のココアパウダーをそれぞれ投入し、沈降性測定を行った。図2より、初期分散性は③ > ② ≧ ①であることがわかる。また、粉末投入から60 s間沈降の様子を観察したが、図3のように沈降性測定の結果と同様であるといえる。
4. まとめ
沈降性測定により、粉末の初期分散性が簡単かつ定量的に評価できることが確認された。初期分散性以外にも分散安定性評価にも適応可能であり、操作も簡易であることから、日常的な研究開発において高い有用性が期待できる。



