動的表面張力計を用いた洗剤の界面活性能の評価
概要 界面活性剤の界面形成初期における吸着挙動を評価する手法として、動的表面張力測定の有用性を紹介する。
< 関連ワード:動的表面張力、界面活性剤、洗剤、吸着 >
1. 表面張力測定における課題
プレート法(Wilhelmy法)やリング法(du Noüy法)といった従来の表面張力測定法は、液体が静止した状態での静的表面張力を評価するものであり、これは界面活性剤が十分に界面へ吸着した平衡状態を反映している。一方、洗浄工程のような実使用環境では、攪拌や流動によって新たな界面が連続的に形成されるため、界面活性剤が十分に吸着できず、静的表面張力より高い値を示す傾向がある。こうした動的条件下では、界面特性がぬれ性や泡の生成挙動に大きな影響を及ぼす。しかし、静的表面張力の測定だけでは、実使用環境における界面の挙動を十分に評価することは難しい。そのため、界面形成の初期段階における吸着挙動を評価可能な測定手法が重要となる。
2. 動的表面張力測定の有用性

界面活性剤は界面へ拡散および吸着することで、時間とともに表面張力を低下させる性質を持つ。したがって平衡状態を評価する静的表面張力測定に対し、動的表面張力測定では界面形成直後の極めて短い時間領域(1秒未満)における変化を捉えることが可能である(図1)。本稿では、当社の動的表面張力計を用いて市販の4種の洗濯洗剤の界面挙動を評価した事例を紹介する。
3. 測定条件・結果および考察
4種の洗濯用洗剤をそれぞれ使用時の濃度に希釈した溶液を調整し、静的表面張力(プレート法)および動的表面張力を測定した。静的表面張力は経時変化を測定したうえで、平衡状態に達すると考えられる20秒時点の値を比較した(図2)。その結果、D社が最も低く、B社が最も高い値を示し、平衡状態における界面活性効果はD社が最も高いことが明らかになった。一方、動的表面張力では、ライフタイムに対する表面張力の変化を評価したところ、B社が最も速く表面張力の低下を示し、界面への吸着速度が速いことが確認された。この結果、静的表面張力とは異なる大小関係が得られた。

4. まとめ
動的表面張力測定により、界面活性剤の吸着挙動を定量的に評価できることが確認された。本事例では、静的表面張力と動的表面張力で測定値の大小関係が入れ替わる結果が得られたことから、洗剤のように動的な環境下で使用される製品の評価においては、静的表面張力測定だけではなく、動的表面張力測定も必要であることが示唆された。





