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適切な分散剤添加量の評価

概要  高濃度ゼータ電位計ZetaProbeは、希釈することなく分散剤の適切な添加量を短時間で見極めることができる。
関連ワード:分散液(懸濁液、スラリー)、分散剤(添加剤)、分散安定性、高濃度、原液、ゼータ電位 >

1. 分散剤の役割と添加量の見極めにおける課題

 塗料の貯蔵安定性や塗工時のムラの生じやすさ、セラミック分散液のろ過のしやすさなどの様々な過程において、分散安定性が関与する。一般的に、粒子表面に吸着して静電的反発や立体障害を生じさせる「分散剤」を使用して分散安定性を向上させる(図1)。従来は、この分散剤の最適な添加量を知るために、数水準の添加量を決めて分散液を調製して評価していたため、多くの試行回数や工数を費やしていた。

2. 高濃度ゼータ電位計を用いた評価のメリット

 Colloidal Dynamics社の高濃度ゼータ電位計ZetaProbeは、高濃度試料を評価対象とするため、希釈する必要がない。原液のままの分散液に分散剤を滴定しながらゼータ電位の変動をモニタリングできるため、分散剤の適切な添加量を短時間で見極めることが可能である。本稿では、ZetaProbeを用いてアルミナ分散液に対する適切な添加量を評価した事例を紹介する。

3. 測定条件・結果および考察


 5 wt%アルミナ/水分散液を調製し、0.4 wt%ポリカルボン酸系分散剤水溶液を0.2 mLずつ、合計3.0 mLを滴定しながら測定した。滴定前のゼータ電位は正の値であったが、滴定を開始するとゼータ電位が大きく減少して負の値になり、添加量1.0 mL以降ではゼータ電位のプロットがほぼ横ばいになった。この結果から、正に帯電していた粒子表面に添加剤の分子が吸着し、1.0 mL以降では吸着が飽和したことが考えられる。

4. まとめ

 分散剤の添加量と分散液の粘度から求めた分散剤の推奨添加量は0.3%(分散液固形分に対する添加剤固形分)であり、本件の結果と一致した。本測定は30分程度で完了したため、他の手法よりも短時間で添加剤の吸着や適切な添加量に関する情報を得ることができる。

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