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信州大学工学部 酒井俊郎研究室との研究テーマが日本油化学会 学生奨励賞を受賞

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信州大学工学部 酒井俊郎研究室との研究テーマが日本油化学会 学生奨励賞を受賞

信州大学 工学部 学部4年  矢島さん(左)
信州大学 大学院 修士2年  長谷川さん(中央)
協和界面科学(信州大学 大学院 卒) 磯貝さん(右)



信州大学 総合理工学研究科(修士課程)工学専攻物質化学分野2年生長谷川舜樹さん(酒井俊郎研究室所属)が第60回 日本油化学会年会において学生奨励賞を受賞しました。当社は装置開発に協力し、国内営業課 磯貝 が連名者として掲載されています。

 

研究名:水中での固体表面への油の付着および固体表面からの油の脱離機構の解明

研究者:○長谷川舜樹¹・磯貝洋幸²・酒井俊郎¹ (信州大工¹・協和界面科学株式会社²)

信州大学のHPhttps://www.shinshu-u.ac.jp/topics/2021/10/post-262.html

油滴脱離観察装置(協和界面科学株式会社共同開発)

油滴脱離観察装置
(協和界面科学株式会社共同開発)

超純水中でアクリル板状に油を付着させ、側面から超純水あるいは界面活性剤水溶液を流した際の油の形状・大きさ・位置の変化を観察

油の形状・大きさ・位置の変化を観察1
油の形状・大きさ・位置の変化を観察2

本成果の可能性

固体表面の油汚れの洗浄鵜や海底の岩盤からの原油の回収のメカニズムの解明や効率の向上


今回、受賞にあたり、研究テーマのインタビューを行いました。
掲載写真3.jpg

 

新しい発見は、現象を目でみて直感でイメージしてから、分子レベルを推測する

Qこの研究を行おうと思ったきっかけは何でしょうか?
(信州大:酒井先生)海底の岩盤から原油を回収する話を伺い、岩盤から原油が剥離するメカニズムに興味をもちました。そこで、 まずは岩盤から原油が剥離するメカニズムを解明しようと思いました。一般に、メカニズムを解明したいとき、スケールの大きさが分子レベルになりがちですが、まずはもっと大きなスケールで現象を確認すべきだと思いました。例えば、コロイド界面科学の世界では界面活性剤分子がならんでいるイラストが良く見ますが、実際に分子が並んでいるのを見た人はいないと思います。今回の研究も分子レベルで現象を解明したくなりますが、その前にもう少し大きなスケールで実際の現象を見てきちんと理解した上で分子レベルの話をするべきと思いました。

この『現象を見る』というのは人間の直感に響きます。 例えば、表面張力とはその漢字から「表面を引っ張る力」であることはわかりますが、実際にどのような力であるか直感的にイメージすることはできません。また、水の表面張力は72 mN m-1であることを知っていても、その力の大きさは直感的にはイメージできません。リング法で水の表面を引っ張っている映像を見せれば、水の表面には引っ張る力があることを実感できます。

(信州大:長谷川)企業だと界面活性剤を変える等、本質にこだわらないパワープレイになりやすいと思いますが、洗浄効率を上げるなら、洗浄のメカニズムを把握するのがとても大事で、そのメカニズムを解明するのが面白いと感じました。

Q研究を進める上で、どのような経緯で協和界面科学に相談したのでしょうか。
(信大:酒井先生)私は界面といえば協和界面科学、界面の謎を解き明かすパートナーとして考えています。協和界面科学の亀井真帆 社長、亀井 潮 専務も若く、あと何十年という時間の中で一緒にやっていけると思ったからです。相談はどこかの席で、御社の磯貝さんに「こんなのできない?」と話をしたら、1か月で実験機を作製してきてくれたんです。嬉しかったです。

(協和界面科学:磯貝)酒井先生から、ホワイトボードでラフスケッチされた装置を、1か月後の長谷川さんのインターンシップに間に合わせて作りました。装置作製は自分で行ったことが無く初めて慣れない加工等も一人で行ってめちゃめちゃ大変でした。

(信州大:長谷川)協和界面科学のインターンシップに参加したときに、そこに磯貝さんが作った実験機があって、その後学校に導入されました。そこから実験系を考えましたが、分からないことばかりで大変でした。

Q大変というキーワードが出たので、他にどのような点が大変でしたか?
(信州大:長谷川)そもそも洗浄のことを知らなかったので、新しい分野を学んでいく必要がありました。実験でも初めての装置なので、試行錯誤しながら進めていきました。あと、一番大変だったのは、コロナの影響で学会が相次いで中止されて、研究室へも人数制限があって思うように研究ができず、モチベーションを保つのに苦労しました。

Q研究を進めていくうちにどのような発見がありましたか?
(信州大:酒井先生)油が取れる現象としてTVCMなどで見られるローリングアップがよく知られていますが、今回の研究で、ローリングアップ以外のメカニズムが存在していることがわかってきました。学会の発表では、多くの方に視聴していただき、また、多くの質問もいただきました。多くの方に興味を持っていただけたと思います。

(信州大:長谷川)去年から研究を始めたばかりのテーマですが、このような賞を頂けるとは思っておらず、驚きました。質問が沢山あり、聴講者も多かったのでみんなに興味を持ってもらえたのかなと思います。このような賞を頂けて光栄です。

国内メーカーならではの細かなニーズへの対応力と使いやすさ

Q協和界面科学の印象についてお聞かせください。
(信州大:酒井先生)初めて御社の接触角計(DropMaster)で接触角の映像をみたとき、すごく美しいと思いました。この映像をただ接触角の数値解析だけで終わらせるなんでもったいない、この映像こそ使う価値があると思いました。

Q協和界面科学が発展するためには、どんなことが必要でしょうか?
(信州大:酒井先生)「協和界面科学」の名前は、日本の界面科学の装置メーカーのパイオニアだと思います。しかし、我々が「協和界面科学と共同研究をしている」と話をしても、協和界面科学を知らない方が多いのも事実です。一般に、装置を購入する場合、世界的に有名な装置メーカーの装置を選定すると思います。御社は使いやすい装置で、細かなニーズにもこたえてくれる等、海外メーカーに比べると良い所が沢山あります。同じ土俵で勝負するのではなく、自社の強いところで拡販や知名度を上げていくのが良いと思います。お客様のニーズも多様化してきていると思うので1社1品のように細かなニーズに答えていくことができれば理想的ですね。

先輩後輩がつなぐ界面科学

掲載写真2.jpg

Q先ほども研究室にOBの方が挨拶に来られていましたが、先生にとっても嬉しいですね。
(信州大:酒井先生)研究テーマも先輩、後輩が交流しながら、何世代にもわたってつないでいく、いわば先輩、後輩がつなぐ界面科学なんです。先に生きたものは後につないでいく、だからOBが研究室に顔を出してくれるのも、自分の実験のその後を気にしてくれていて嬉しいですね。

Q今後卒業していく学生に対して、どのようなことを期待しますか?
(信州大:酒井先生)若い人の研究スタイルとして「ある物を使っていく」という考えになってきている。決まった装置で決まった測定をして研究する。これは当然で、さらに発展する為には自分で知りたい謎、研究をするために、自ら装置を作る、そんな考え方が必要だと思います。研究室では自ら装置を作るような考えを身に付け、企業で活躍してくれたら嬉しいです。

最後に

2人は卒業される予定ですが、今後の目標や抱負をお聞かせください。
(信州大:長谷川)何事にも興味をもって研究したいです。コロイド界面科学を選んだのも色んなことを学んで実際にやってみたかったからです。研究室で学んだことを次へ繋げていきたいと思います。

(信州大:矢島)元々コロイドの授業は高校でも苦手だったけど、苦手なことから逃げずに逆に自分でやろうと思って、コロイド界面科学の研究室を選び、大変でも逃げずにできたと思います。今後も分からないことがあっても頑張りたいと思います。

酒井先生も今後の目標をお聞かせください。
(信州大:酒井先生)あと10年かけてコロイド界面科学といえば信州大学工学部だよねと言ってもらえるように学術界だけでなく、産業界と一緒になって研究を作っていきたいと思います。その為には、一つ一つの研究テーマを論文発表すると同時に、産業界と連携して新しい発見を社会に発信していきたいと思います。

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