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泡沫安定性とは

泡沫安定性とは、生成された泡がどれだけ壊れにくく、維持されるかを評価する指標です。泡を構成する液膜の安定性や界面活性剤の吸着挙動、液体の粘弾性などが大きく影響します。洗浄剤、塗料、インク、化粧品など、泡の制御が重要な分野で広く活用されています。

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気泡・泡沫とは

普段何気なく使う「泡」という言葉は、大きく「気泡」と「泡沫(フォーム)」という状態に分けられます。
泡沫(フォーム)とは、液体中に多数の気体が分散し、薄い液膜で区切られた泡の集合体です。これに対し、気泡は液中や液面に単独で存在する泡を指します。

そのため、「泡立つ」という現象の中にも、液面に生じた泡が長時間消えない場合や、泡立ってもすぐに消えてしまう場合、さらには撹拌によって液中(バルク)に微細な気泡を巻き込む場合など、さまざまな状態があります。
例えば、洗浄剤では適度な泡もちが洗浄性や使用感に影響し、塗料やインクでは微量の気泡でも塗膜欠陥の原因となるため、迅速な消泡が求められます。このように、産業分野や製造工程ごとに求められる泡の性質は異なるため、泡(気泡性)を定量的に評価することは非常に重要です。

日常で見られる気泡と泡沫
図1 気泡と泡沫の身近な例

「起泡性」は泡がどれだけできやすいか(生成)を表すのに対し、「泡沫安定性」はできた泡が壊れにくいか(維持)を評価する概念です。この両者はいずれも「気泡性」として密接に関連しつつも、異なる物性情報を与える指標として区別されます。
そのため、泡について評価したいと考えるならば、起泡性と泡沫安定性を組み合わせた評価が必要不可欠です。

ただ、実際の現場で「泡立って困る」という場合、「一度泡立つと泡が長持ちして消えない」という性質で困っていることが多いため、生成された泡がどれだけの時間・強度で存在し続けられるか(泡寿命)を示す指標である泡沫安定性の評価が第一選択肢となります。

泡の構造と破泡

泡は、気体とそれを取り囲む液体の膜(液膜、ラメラ)から構成されています。この液膜は、重力による排液・蒸発・空気中の異物(埃など)の付着・振動などの影響を受け、時間とともに薄化・不安定化します。そして最終的に液膜が破断すると、泡は消失します。

特に界面活性剤を含む系では、液膜表面に界面活性剤吸着層が形成され、局所的な表面張力差によって液体が移動するマランゴニ効果が働くことで、膜厚の不均一化が抑制されて泡が安定化します。一方、シリコーンなどの消泡剤は液膜へ侵入して膜の均一性を乱し、液膜の排液や局所的な薄化を促進することで破泡させます。

<液膜の安定性に影響する主要な因子>

  • 表面張力(マランゴニ効果)
  • 液体の粘弾性特性(バルク粘度、表面粘弾性)
  • 液膜の排液速度、蒸発速度
  • 液膜の厚さ、膜厚の均一性
  • 界面活性剤の配向や吸着の状態(吸着量・吸着速度)
  • 粒子・不純物の存在
  • 外部環境(温度、振動、せん断力)

一般的な評価手法

多くの泡沫安定性の測定は、泡の生成後の時間変化や構造変化を観察・定量することで評価しています。
測定手法 方法 特長
容積法 泡高さ・泡容積から泡の量を測定 古典的
簡易
ロスマイルス法(ASTM D 1173)が代表的
崩壊法 泡が半減するまでの時間を測定 泡寿命を評価できる
画像解析 泡の構造や膜厚を観察  研究用途で用いられることが多い
排液法 排液速度を測定 液膜の安定性を評価できる

当社で可能な測定

泡沫安定性の本質は「液膜の安定性」にありますが、表面張力計「DyneMaster」シリーズでは、リング型の測定子を用いることで「ラメラ長」と「液膜安定時間」という2つの液膜の評価が可能です。これにより、泡沫安定性やラメラ構造の維持、液膜の安定挙動を定量的に評価できます。

このほかにも、「泡」をより多角的に把握するためには、起泡性の評価手法である表面張力測定や動的表面張力測定と組み合わせることも有用です。

【ラメラ長】

ラメラ長は「液膜の伸び(長さ)」を評価する指標です。液膜や塗膜の切れにくさを表し、泡の安定性や消泡性の度合いを数値化するために用いられます。また、塗料・コーティング液におけるコーティングロールへのピックアップ性を示す指標としても利用されています。

ラメラ長が長い場合、液膜が均一かつ安定で、泡が破れにくい状態にあるため、泡沫安定性は高い(良い)といえます。一方、ラメラ長が短い場合は、局所的に液膜が薄くなりやすく、泡が早期に崩壊しやすいため、泡沫安定性は低い(悪い)と判断できます。

測定はdu Noüy法(リング法)による表面張力測定と同様の原理で行われ、引き上げ張力のピーク(図中 Fmax)から液膜が切れるまでの距離をラメラ長として求めます。
なお、ラメラ長は液膜の伸長速度によっても変化します。速度が速い場合は、液膜が十分に伸びきる前に切れてしまうことがあるため、測定は一定の低速条件で行う必要があります。

ステージ位置に対する測定力のグラフ
図2 表面張力と液膜長さの関係
図3 ラメラ長測定の様子
【液膜安定時間】

液膜安定時間の測定は、当社が新たに開発した独自の泡(液膜)の評価手法です。液膜を形成した時点から破断するまでの時間を測定することで、液膜が破断せずに存在し続ける能力を数値化しています。

本測定はdu Noüy法(リング法)による表面張力測定のアルゴリズムを応用しており、引き上げ張力のピーク(図中 Fmax)から液膜が破断するまでの間の任意の位置で液膜を作成し、それを保持します。

※当社ではラメラ長で試料間に差が見られなかった場合のみ、液膜安定時間の測定を実施することをおすすめしています。

液膜安定性測定のイメージ
図4 液膜安定性測定(イメージ)
図5 ラメラ長測定と液膜安定性測定の違い

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