液膜安定性測定とは
泡(液膜)の評価方法
“泡の評価” = “起泡力” + “泡沫安定度”
- 起泡力(Foaming Power) = 液体の泡立ち易さの評価で、 液体注入、送気などの動作を行った直後の泡沫の高さ(体積)を測定
- 泡沫安定度(Foam Stability) = 泡の寿命の評価で、上記を行った後、一定時間経過後の泡沫の高さ(体積)を測定
代表的な泡(液膜)の評価方法
- ロスマイルス法:ASTM D 1173
- 振とう法:ASTM D 3601
- かきまぜ法:DIN 53902
- 回転法:Cosmet.Toilet.,92,21(1977)
- 攪拌法:ASTM D 3519
- ラメラ長測定(泡沫安定度を示す指標)
着色液体(例えば塗料など)ではメスシリンダーの内壁に試料が付着し泡の様子が確認できない
※ ラメラ長測定では差が出ない場合
実試料ではあきらかに差はあるが、ラメラ長測定では差が出ない試料もあることがわかってきている
新たな泡(液膜)の評価方法
- Fmaxから破断までの間の任意の距離にてステージ動作を停止
- 液膜を形成した時点から破断するまでの時間を測定
液膜を経時的に維持できる時間を『液膜安定時間』
液膜の安定性(持続時間が長い = 安定性が良い = 破断しにくい)を簡易的に判断可能
『ラメラ長測定』と『液膜安定性測定』の違い
塗料(着色液体)測定例
塗膜欠陥の少ない塗料(塗料A)、多い塗料(塗料B)
- 着色液体のためロスマイルス法では測定不可
- ラメラ長測定では試料間差は確認できず
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ラメラ長 : mm
n1 | n2 | n3 | Avg. | S.D. | |
---|---|---|---|---|---|
塗料A | 3.19 | 3.21 | 3.19 | 3.20 | 0.01 |
塗料B | 3.21 | 3.21 | 3.27 | 3.23 | 0.03 |
- 液膜安定性測定の結果より、『塗料B』は液膜の安定性が良い = 塗膜上の泡がなくなりにくい(破泡しにくい)となり、塗膜欠陥の要因になっていると推察
- ばらつきが大きい = 塗料内の顔料ぬれ、界面活性剤物質の分散の不均一を示唆?
- 塗膜欠陥の発生しやすさ/しにくさの判断に活用できることに期待
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安定時間 : s
n1 | n2 | n3 | n4 | n5 | Avg. | S.D. | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
塗料A | 18.7 | 25.8 | 31.5 | 9.7 | 20.4 | 21.2 | 8.2 |
塗料B | 52.4 | 67.1 | 100.0 | 53.0 | 19.3 | 58.4 | 29.2 |
※ 実際は液膜が破断することなく維持し続けていた
- 液膜の破断現象には重力による排液、蒸発や空気中の埃の吸着、液膜への微弱な振動など多岐にわたる。したがって、安定時間は環境に大きく依存し、ばらつきが大きくなる傾向になると考えている。ばらつきの大きさを考慮し、液膜安定時内の最大値と平均値を測定値としている。最大値はその液体が持つ最大限のポテンシャルを発揮した時と考えている。