【第8回】表面自由エネルギー入門
「表面自由エネルギー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「表面張力」がいくつかの力の合計であり、それぞれの成分を分けて考えるときに、この言葉を使います。
「表面張力」は液体だけでなく、固体や気体にも存在します。「固体は表面張力があっても、表面が動かないから意味がないのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし異なる固体の上に同じ成分の液体を垂らすと、そのぬれ広がり方は異なります。これが固体の表面張力が影響する現象です。
表面自由エネルギーを考えるときは、それが固体であれ液体であれ、複数の力(分子間力)の合計として考えます。2つの物質が持つ力の成分構成が似ているほど、互いに引かれあうことが分かっています。
- 水をガラスに垂らすと良くぬれる・・・水とガラスの成分構成が似ているから。
- 水をワックス面に垂らすとはじかれる・・・水とワックスの成分構成が大きく異なるから。
・・・となります。
さて、まだ分かりにくいと思われる方に、ここでたとえ話を・・・
ある会社の同じ課に、松田さん、竹本さん、梅宮さんという社員がいます。彼らに、自分の趣味のうち、もっとも占める割合の高いものを3つ挙げてもらい、その割合を大ざっぱにグラフで表してもらいました。休み時間に話が弾むのは、誰と誰の組み合わせでしょう?
もちろん、松田さんと梅宮さんです。
「表面自由エネルギー」とは、そういうものだと考えてください。
(人間も結局は分子の集まりですから。)