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ゼータ電位とは

さて、コロイドとは、どんなものでしょう?
「連続相の中に細かく分割された状態で一様に分散された不連続相からなるもの」と定義されるようですが、ここでは「流体内に粒子が分散した懸濁液」とします。その例として各種塗料、インク、ミルクなど、実用の世界で多岐にわたり使用されております。一般的に云ってコロイド粒子は電荷を持ちます。そして、その電荷の値は、分散溶液のpHなどを調整することによって変化させることができます。粒子はそれと反対の電荷を持つイオンによって、更にその外側に正と負のイオンによって取り巻かれて全体としてバランスしてコロイド粒子として溶液中に安定に分散することになります。

ゼータ電位

これはコロイド粒子の模式図です。この場合ではマイナスにチャージした濃いグリーン色の粒子の表面にはそれとは反対のプラスチャージを持つイオンに取り囲まれます。この層をイオン固定層と呼びます。さらに外側にプラスとマイナスのイオンが混在する拡散層に取り囲まれています。これら2つの層を合わせて電気二重層と呼びます。さらに電界によって粒子が移動するとせん断力がかかると拡散層の中で粒子から切り離されて動くイオンと粒子に同伴するイオンの境界面ができます。この境界面のことを「すべり面」と呼びます。この面での電位を「ゼータ電位」と呼びます。 ゼータ電位は、溶液中のイオンの種類、濃度、などの周囲の環境によって変わります。

ゼータ電位の重要性

さて、コロイド粒子のゼータ電位は何を教えてくれるのでしょうか?
それはまずコロイドの分散安定性の指標になります。絶対値が約25mV以上になると、コロイドは静置して安定に分散した状態になります。さらにゼータ電位を細かく調整することによって、
①コロイドの流動性を制御したり
②粒子間の凝集性をコントロールして、スラリーの濾過効率などの調整に活用したり
③コロイドの保存性の指標にも使えます。
また、④粒子の表面改質を試みるときに、表面特性を定量的に追跡して最適な表面制御技術の確立のために活用することもできます。

ゼータ電位での評価

ゼータ電位は多くの業界・製品で、分散安定性の評価・指標として使用されています。

評価対象  
①研磨剤・顔料インク 分散、凝集・沈降の指標
②新規機能性材料・ナノテクノロジー 分散、凝集・沈降、流動性の指標
③バイオメディカル 表面特性・粒子間相互作用の指標

高濃度のコロイドに注目してみると、ここに示されるとおり、セメント、粘土、鉱物関係、半導体研磨用CMPサスペンション、医学薬学用エマルション、セラミクス材料、インク、電池材料、化粧品など、実に多種多様な分野に活用されてきております。そのため、最終製品もしくはそれに密接に関係する「高濃度のコロイド」の性能を正確に評価できるかどうかは、品質管理及び品質向上のために大変重要なことであることは間違いありません。

粒子分散とゼータ電位の相関がない例

「ゼータ電位」は、コロイド粒子の分散安定や凝集の度合いを評価するパラメータとして、様々な分野で利用されています。 しかし、ゼータ電位が分散の指標とはならないケースもあります。たとえば、下記のような原因が挙げられます。

1.粒子径が非常に大きい場合

粒子径が大きい場合は、その粒子自体の密度の影響を大きく受け、密度の高いものは沈降し、密度の軽いものは浮上してしまいます。 これらの場合、粒子のゼータ電位が高くても安定して分散するとは言い切れません。

2.粒子表面に立体障害がある場合

粒子が安定して分散するのは、ゼータ電位による分散の他に、表面に吸着している高分子鎖の立体障害による分散の場合があります。 立体障害によって安定して分散している場合は、ゼータ電位の絶対値の大小に関わらず、粒子同士はお互いに凝集しにくい状態にあります。

3.溶液の塩濃度が濃い場合

溶液の塩濃度が濃い場合、溶液に電場を与えても粒子が挙動を示しにくい状態にあります。 ゼータ電位測定は、簡単に言うと粒子表面の状態を電気的な数値に変換することですが、塩濃度が高すると、電極間に電圧を印加して溶液に電場を与えたとき、イオンがキャリアの役割を果たしてしまい、過剰な電流が流れることで溶液に電界をかけることができなくなってしまいます。 この場合、粒子がほとんど挙動を示しませんので、装置で測定されるゼータ電位はかなり低い値となってしまいます。

ゼータ電位計は、 研磨剤、凝集剤、ポリマー、セラミック、ガラス、半導体基板、様々な粉体、板材、繊維材料などの分野で、表面特性を評価して改良・調整することに活用されています。 

当社で取り扱っているゼータ電位計

濃厚系/粒度分布・ゼータ電位計

濃厚試料で測定することの意味

  • 主流のレーザードップラー式等の装置では、粒子サイズおよびゼータ電位測定は、光の透過が前提であり、希薄なコロイド状態でしか測定できなかった。
  • そのため、ほとんどの試料は大幅に希釈してからでないと測定することができなかった。
  • 希釈のために余計な時間を費やすばかりではなく、電解質濃度やコンタミ等の影響でゼータ電位を変化させてしまっていた。
  • 実用面では、かなり高濃度のコロイドを用いることが多いため、正しい評価をするためには高濃度コロイドをそのままで測定するほうが好ましい。

希釈系(粒子観察)ゼータ電位計

特長

  • 個々の粒子の動きを画像から計測するため粒子観察が可能。
  • 分布の幅、プラス電位・マイナス電位の粒子の混在や凝集状態を視覚的に確認できる。
  • 故にゼータ電位を平均値ではなく、個々の粒子特性として情報が得られる。
  • ゼータ電位・粒径をヒストグラムで出力可能。
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