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滑落角とは

滑落角とは、液滴を載せた固体表面を傾けた際に、液滴が滑り始める角度を指します。撥水・撥油性や液滴除去性を評価する指標として用いられ、接触角だけでは分からない「液滴の滑りやすさ」を定量的に評価できます。近年では、防汚コーティングや自動車ガラス、建材など幅広い分野で重要視されています。

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滑落角とは

任意の質量の液滴を水平な固体試料の表面に載せ、この固体試料を徐々に傾けていきます。すると、傾斜角αで、液滴のその場にとどまろうとする力を下方へ引っ張られる力が上回り、液滴は斜面を滑り出します。この傾斜角αを「滑落角」といいます。液滴が下方へ引っ張られる力を揃える、つまり液量を揃えれば、滑落角のより小さい表面は液滴の除去性がより良いといえます。
滑落角と前進角と後退角
図1 液滴が滑落するときの模式図

接触角と滑落角の関係

以前は、静的接触角が撥水・撥油性の評価指標として一般的で、接触角が90°以上のときに撥水・撥油性があるとされていました。しかし実際には、接触角が大きいほど液体が付着しにくくなるという関係は必ずしも成り立ちません。接触角がより小さい固体のほうが液体-固体間の付着性によって液滴の除去性がより良いという状況も報告されています。そのため、撥水・撥油性として液滴の除去性を期待している場合には、静的接触角よりも滑落角のほうがより実態に即した評価といえます。

滑落角αの決定と同時に前進角θaと後退角θrも測定でき、どちらも接触角の一種です。前進角θaは液体のぬれ広がりやすさと、後退角θrは液体の付着性と関係があり、塗装やコーティングの分野で応用されています。

接触角ヒステリシスとは

前進角θaと後退角θrの差を接触角ヒステリシスΔθ(=θa-θr)と呼びます。これが生じる理由として、表面汚染、表面粗さ、表面構造の不均一性、表面における分子鎖のセグメントの再配列などが挙げられます。それゆえにΔθは表面状態の指標とみなされることもあります。Δθが大きいということは、移動時に液滴が大きくゆがんでいることを意味し、液滴の移動に大きなエネルギーを要することを示唆します。
前進角と後退角の差が意味するところ
図2 接触角ヒステリシスと固体表面の性質との相関

付着エネルギーとは

複数の試料で液滴除去性を比較する場合、以下の2通りが考えられます。

  1. 同じ液量に揃えて滑落角を比較する
  2. 傾斜角度を固定して滑落しはじめる液量を比較する

液量もしくは傾斜角度を揃えるのは、滑落角が両パラメータに依存しており、どちらかを揃えなければ相対比較ができなくなってしまうためです。

そこで、液量や傾斜角度に左右されない指標として付着エネルギーEが考案されました。付着エネルギーEは、Wolframが「水とパラフィンの滑落角が液滴と固体との接触面の半径rに比例すること」から実験的に見出したパラメータです。滑落角αにおいて、液滴にはたらく重力の傾斜方向成分と接触面の円周にはたらく付着力がつり合っているという理論の下、下記の式から付着エネルギーEは求めます。液体と固体の組み合わせに対して一意に決まり、付着性・液滴除去性の評価指標として滑落角と共に有力です。

付着エネルギーの算出式

滑落速度・滑落加速度について

液滴除去性の評価においては静的接触角よりも滑落角αと付着エネルギーEのほうが有効であると前述しました。ところで、滑落角αと付着エネルギーEは、「液滴が重力に逆らって固体表面に留まろうとする力の限界」を示すだけであって、液滴の除去されやすさという点において「液体がどれだけ速く滑落するか」という速度の概念は含んでいません。つまり、滑落角が小さい場合でも、液滴が速く滑落するとは限らないということです。そのため、自動車のフロントガラスや建物の壁面などのように傾斜角度が決まっているときは、付着した液滴が傾斜面からどれくらいの速さで除去されるかについて「滑落速度」「滑落加速度」で評価することも重要視され始めています。
接触角、滑落角、滑落速度・加速度の違い
図3 接触角、滑落角、滑落速度・滑落加速度の違い

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