表面張力測定による洗浄液の管理
ポイント
キーワード:表面張力、界面活性剤、洗浄、浸透
1.はじめに
界面活性剤水溶液による洗浄は、有機溶剤を使用した洗浄に比べて対象物への影響が少なく作業者に対しても安全であるため、家庭から工業分野まで幅広く利用されています。
界面活性剤は、ごく少量で水の表面張力を著しく低下させ浸透力を高めると共に、油分を包み込んで引き剥がす機能をもちます。ただし、ある濃度(臨界ミセル濃度:CMC)を超えると表面張力は一定となり、洗浄力も横ばいになります。常に洗浄液を最良の状態で使用するためには、洗浄力を定量的に管理することが重要です。
2.解決すべき問題
洗浄液やメッキ液は使用時間の経過とともに界面活性剤を消費するため、洗浄力や浸透力が低下します。定期的に槽内へ界面活性剤を補充するか、液の交換が不可欠です。また、界面活性剤を過剰に加えても洗浄力は向上しないため、使用量を適切に管理しなければなりません。表面張力を計測することで濃度の管理ができないか試験を実施しました。
3.試験内容
試験は、シャーレに入れた液体試料に白金プレートを接触させた際にプレートが液側に引き込まれる力から表面張力を算出するWilhelmy法によりおこないました(図1)。
初めに洗浄液の界面活性剤濃度に対する表面張力値のグラフを作成し(図2)、臨界ミセル濃度(CMC)を求めました。洗浄液の界面活性剤の消費とともに濃度が低下することで、洗浄液の表面張力値が上昇する傾向がわかります。洗浄液の表面張力値をCMC濃度付近で管理することにより、洗浄力の維持と界面活性剤使用量の設定が可能となります。