ISO 19403
接触角、動的接触角、懸滴法表面張力、表面自由エネルギーの測定を網羅した規格が登場しました。
接触角測定の準拠規格として参考にして戴ければと思います。
当社がISO 19403に注目した理由は下記の3点です。
1.接触角計の規格と言っても過言ではない
本規格一つで接触角計に関する適用範囲を概ね網羅しています。
2.表面張力測定方法の一つである懸滴法が初めて規格化された
Wilhelmy法やdu Nouy法の表面張力測定は規格として多々ありますが、いずれの方法も界面張力測定には不向きです。界面張力の測定精度が最も期待できる懸滴法を今後推奨していきたいと考えています。
3.ぬれに関する名称や測定条件が整理され、今度の指標となる
例として表面張力、表面自由エネルギー、OWRK法等
更にこれも初登場ですが「滑落角」の判定条件にも触れています。
接触角計ユーザが、測定の際の条件決めの社内ルール統一の参考にして頂ければと思います。
ISO 19403は「塗料とワニスーぬれ性ー」というタイトルです。
ただし、塗料とワニス限定の規格というわけではなく、それ以外のものにも十分参考になる規格であると考えています。
ISO 19403は7つのPartから構成されています。
7つのパートは大きく下記の3つに分類されます。
・固体表面自由エネルギー解析(Part2)
・液体表面張力(Part3~Part5)
・拡張/収縮法、滑落角などの動的接触角(Part6~Part7)
表面自由エネルギーの成分解析ではOWRK法の採用ならびに接触角測定では2試薬(水(2µL)/ジヨードメタン(1μL))
表面張力の成分解析では,新たに懸滴法での表面張力測定がISOで登場したこと、更に界面張力の精度も良く、標準と位置付けてもよいかと思います。
滑落法は最低1mm移動した時点を「roll-off angleとする」ということを推奨してもよいかと思います。
これら全て当社の解析ソフトウェアFAMASで準拠対応の準備をしております。
これから当社の装置を使用されるユーザ様から現在使用されているユーザ様まで、ぬれ性に関する評価方法の参考にしていただければと思います。
ISO 19403一覧
・ISO 19403は「塗料とワニス-ぬれ性-」がテーマ
・Part.1~Part.7で構成
固体表面自由エネルギー成分解析(OWRK法)
OWRK法(Owens-Wendt-Rabel-Kaelble)
- 解析方法が同じ4つを1つにまとめた名称。2成分,幾何平均則。
- 接触角測定の試薬の成分比をx,接触角から算出される値をyとしてプロット。
- フィッティング直線の傾きとy切片が求めるべき解の平方根。
液体表面張力の成分解析(懸滴法)
- 表面張力と界面張力から分散/極性成分を解析。
- 界面張力測定は懸滴法。
- 参照液体例:デカン,ドデカン,テトラデカン,ヘキサデカン,ヘキサン等の炭化水素
- 表面張力成分解析:OWRK法
液体表面張力の成分解析(接触角)
- 懸滴法界面張力測定が不可の場合。
- 界面形成しない=溶解/溶出,不透明,界面が見えない(同一屈折率)
- 表面張力と接触角から成分を解析。
- 参照個体:パラフィン,PTFE
- 表面張力成分解析:OWRK法
動的接触角測定(滑落法)
- roll-off angle α:液滴がΔs移動した時の傾斜角度。
- 「少なくともΔs=1 mmは必要」 と記載。
- この基準がないと滑落角は決められない。
- 曖昧さは残るものの下限値を示したことは評価。
まとめ
ISO 19403は接触角計の各種測定方法の規格として活用可。
- グレーかつ曖昧な点もあるが良くまとまった内容。
1. 表面自由エネルギーの成分解析
- OWRK法,2試薬での解析(水(2µL)/ジヨードメタン(1µL))。
2. 表面張力の成分解析
- 懸滴法での解析を推奨。不可の場合は接触角での解析。
3. 滑落法
- 少なくとも1mm移動した時点を滑落角(roll-off angle)とする。
当社の接触角計は「ISO 19403」に準拠した各種測定が可能です!