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  3. 接触角を活用した材料表面の清浄度評価

接触角を活用した材料表面の洗浄度評価

概要
洗浄後の材料表面が清浄か否かを評価するための安価かつ簡便な手法として、接触角測定を紹介する。
< 関連ワード:接触角、表面分析、表面処理、表面改質、ぬれ(濡れ)、洗浄、汚染、固体材料、材料表面 >

1. 表面評価における課題

 製造工程では、表面の清浄度が製品の品質を大きく左右する。表面が清浄でなければ、塗工や接着工程で不良が発生しやすく、特に半導体ウエハでは厳格な洗浄が求められる。洗浄後の残留油分を測定する方法としてはX線解析や赤外分光解析があるが、これらは高度な測定技術と高価な装置を必要とし、日常的な品質管理に用いるには負担が大きい。そこで、簡便かつ安価に表面清浄度を評価できる手法が求められている。

2. 接触角測定の有用性

 清浄な金属表面やガラス表面は親水性を示す。一方で、表面に付着した油分やほこりは水とのなじみを妨げ、親水性を低下させる要因となる。接触角は、固体表面に置いた液滴の形状から求められるぬれ性の指標であり(図1)、ナノオーダーの薄膜にも敏感に反応する。
 本アプリケーションでは、当社の接触角計(DMシリーズ)を用いて大気暴露によるガラス表面の汚染を評価した事例を紹介する。

3. 測定内容と結果

 新品の清浄なスライドガラスを大気中(非クリーンルーム環境)に放置し、純水を用いて経過時間ごとに接触角を測定した(着滴量:0.5 µL、室温)。
 開封直後の接触角(Avg.)は 5.6°であったが、大気曝露1日後から顕著に増加し始め、2か月以降でほぼ一定値に達した(図2)。一方、標準偏差(S.D.)は110日で一時的に増加した後、減少した。これは、初期には汚染物質が表面に不均一に付着するため測定値のばらつきが大きくなり、その後、表面全体を均一に覆うことでばらつきが小さくなったと解釈できる。

4. まとめ

 接触角によって大気中汚染物質の付着過程を高感度に追跡できることが確認された。接触角測定は、ガラスに限らず金属や樹脂など多様な材料表面の洗浄・改質評価にも適用可能であり、装置が比較的安価で操作も容易であることから、日常的な品質管理や研究開発において高い有用性が期待できる。

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