単繊維の接触角。1000fpsの接触角測定。
ポイント
極小液量での接触角測定。
1.はじめに
固体表面への液体の塗布・コーティングやぬれ性の評価として接触角測定は様々な分野で使用されているが、通常接触角測定というと接液から秒単位の時間が経過した後の状態のイメージを持たれることが多い。通常は液量がμL(マイクロリットル)オーダーの測定がイメージされがちであるが、液量がpL(ピコリットル)オーダーの接触角測定においてはμLオーダーでは行えなかった評価が可能となる。
2. 単繊維の接触角

極小接触角計MCAシリーズでは単繊維や毛髪1本への着滴+接触角測定が可能となる。右の写真のように繊維の上下を液が全体を包み込むような状態になる場合や、繊維の上にのみ液滴が乗る場合など、その繊維の表面状態により様々なぬれ方が観測される。
単繊維上の測定では数百pL程度の液量での着滴となる。非常に少ない液量であるために、数秒のうちに液の蒸発が進む様子が観測される。
3.1000fpsの接触角測定

高速カメラを装置に取り付けることで(一部特注)右図のように1[ms]間隔での測定も可能となる。これはインクジェットヘッド吐出による水の接触角測定だが、液量としては数十~数百pLのオーダーの測定である(最少吐出は7pL程度)。
接液直後の接触角が60°付近であるのに対して、20[ms]後には20°を下回る値となっている。液滴の撮影写真を見ると、時間と共に接液半径も大きくなっていることがわかるが、ぬれ面積が広がっているので表面積も大きくなり、その分の揮発による液量減少による接触角の減少も考えられる。
この液量の測定になると、比較的雰囲気の乾燥状態にも影響されやすいため、測定時には湿度条件にも気を配る必要がある。