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  3. 炭素繊維プリプレグシートと剥離紙の剥離性評価

炭素繊維プリプレグシートと剥離紙の剥離性評価

概要 炭素繊維プリプレグと剥離紙の剥離強度を実使用環境に近い状態で評価する方法として、剥離試験を紹介する。
関連ワード:剥離試験、炭素繊維プリプレグ、剥離紙、強度、剥離速度、剥離角度 >

1. 剥離試験における課題

 炭素繊維プリプレグは、炭素繊維に樹脂を含侵させたシート状の複合材料であり、軽量で高強度・高剛性を有することから、金属に代わる材料として幅広い分野で利用されている。プリプレグ積層体は、自動積層装置によって形成され、同時に剥離紙が自動的に除去・回収される(図1)。このとき、剥離紙は容易に剥がれることが求められるが、剥離強度が小さすぎると使用前に剥がれてしまい、大きすぎるとシリコーン付着等の品質トラブルの要因となる。そのため、剥離強度を最適な状態に管理することが重要な課題となる。

2. 高速剥離の有用性

 実際の積層ヘッドが30 m/min ~ 60 m/minの速度で動作するのに対し、従来の試験機では剥離速度が最大でも1,000 mm/min程度であり、剥離角度も調整できないため、実使用環境を再現できる測定装置が求められていた。本稿では、当社の粘着・被膜剥離解析装置(VPAシリーズ)を用いて剥離速度や剥離角度を変化させた際の剥離強度の違いを評価した事例を紹介する。

3. 測定条件・結果および考察

 剥離紙ABCを以下の条件で剥離試験を行った。
 ・条件1 : 剥離速度 1,000 mm/min、 剥離角度 180°
 ・条件2 : 剥離速度 30,000 mm/min、剥離角度 45°
従来の測定条件と同じ条件1では、剥離強度の大小関係はC < A < Bとなった。積層装置とほぼ同条件で設定した条件2では、剥離強度はA < C < Bとなり、積層装置の剥離強度順位と一致した。

4.  まとめ

 高速かつ実用環境に近い剥離角度の条件で剥離強度を評価することで、積層装置での実際の剥離強度順序を再現可能なことが確認された。今後はこの方法を用いることで、プリプレグ製造工程における剥離紙の適正管理が可能となり、製品品質と安全性の向上が期待できる。

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