積層セラミックコンデンサのグリーンシートとキャリアフィルムの密着性
ポイント
軽剥離試料では、引張側の粘着テープ支持体の剛性に左右されない剥離角度の測定が有効。
剥離速度を変えることで、より明確な試料間の差異を見出すことが可能である。
キーワード 剥離角度、剥離速度
1.はじめに
積層セラミックコンデンサはスマートフォンやタブレット端末など、モバイル電子機器の小型化・薄型化、大容量化に伴って需要が拡大している。積層セラミックコンデンサの製造過程において、グリーンシートとキャリアフィルムは綺麗に剥がれるよう適度な剥離性が要求される。しかしながら剥離性が良すぎると巻き取り時にキャリアフィルムから剥落したり、クラックが発生したりするため、密着力においても適度な強さが要求され、最適化が求められる。
2.解決すべき問題
グリーンシートとキャリアフィルムの密着性は非常に微小な応力で維持されている。そのため従来の引張試験機による剥離試験では、最少引張応力の検出が限界に近いため、剥離試験を行うことすら困難であった。
3.測定条件・結果
- 測定には軽荷重タイプ 粘着皮膜剥離解析装置 VPA-3を使用し、オプションのフルスケール0.1Nのロードセルで試験を行った。
- 剥離角度は120°、90°、60° の3つの角度で行い、それぞれの剥離角度において、1回の剥離工程で30mm剥離するごとに剥離速度を50mm、100mm、200mm、500mm、1000mm/minの5段階の速度で変化させて、角度ごとの速度依存性を試験した。
- その結果、剥離力は0.005〜0.02Nと非常に微小であるにもかかわらず、剥離角度・速度依存性を見出せた。剥離角度60° で最も顕著な差が表れた。