【第7回】北国の雪と戦う界面科学
何年前でしたか、20センチの積雪であたふたしていた首都圏のニュースを見た北海道の知人に、「あんなのは雪のうちに入らない。」と言われて、返す言葉もありませんでした。
だからこそ北国の雪は、首都圏ではありえない、色々な災害をもたらします。雪によって引き起こされる事例をいくつか挙げてみます。
- 家の屋根に大量の雪が積もり、そのままにしておくと屋根が壊れてしまう。
- 標識が雪に覆われて見えなくなってしまう。
- 電線に雪が付着し固まって、その重みで電線が切れてしまう。
これらは、いずれもあることを改善すれば、被害を小さくできるのです。屋根、標識、電線の被覆などを、水にぬれにくくしてしまうのです。
雪の成分はほとんど水です。積雪はただ雪の結晶が重なるのではなく、 最初は雪が解けた冷たい水が覆い、その上に徐々に固体の雪が積もっていくのですから、 水にぬれにくい表面にすれば良いわけです。
水にぬれにくいこと、水をはじきやすいことを、「はっ水性が高い」と言います。
しかしそれは決して簡単なことではありません。いかにはっ水性が高くても、その効果が持続しなければ、ひんぱんに材質を交換しなければなりません。
また、雪の付着を抑えたとして、別の大きな害が発生してもいけません。それらの条件をクリアしても、値段が高すぎると、普及させる事ができません。
様々な材質で試行錯誤が繰り返されていますが、近年は固体と液体の馴染みやすさの目安となる「表面自由エネルギー」も、他の方法と併せて利用されています。