【第5回】そもそも「界面」って何だろう?
さて、根本的なことですが、「界面」というのは何でしょう。化学的に言いますと、混じらずに接している2つの物質の「境目(さかいめ)」ということになるでしょう。
界面科学(化学)は、英語では「interface science(chemistry)」です。コンピュータ用語のインターフェイスはどの辞書でもよく出てきますが、新編英和活用大辞典(研究社)で「interface」を引くと、一つには「接触部分」という日本語が充てられています。界面科学的には、この表現がぴったりではないでしょうか。
例えば、私たちの顔と空気との境目も、広い意味では「界面」言えるでしょう。 床に水をこぼしたときに、床に水滴ができます。このとき、いくつの「界面」が存在するでしょうか。
よく、「水と油」という言葉を使います。 水と油を容器に入れると、2層に分かれて混じり合わないことから、相性が悪いという例えにされます。このときの水と油の境目も「界面」ですし、容器と水、容器と油にもそれぞれ「界面」があります。
(※全ての水と油が混じり合わないわけではありません。)
空気中での液体や固体の外側の部分は、一般的に「表面」という言葉を使いますので、「表面」は「界面」の中の1種と考えてください。
このように考えると、「界面」はこの世のありとあらゆるところに存在します。「界面」では色々な現象が起こります。界面を維持しようとする力がはたらいたり、互いに溶け合おうとしたり、また、別の物質が入ることで、それらが妨げられたり、促進されたりします。これら界面での現象を利用することで、生活に役立っていることが沢山あります。
ごく当たり前の生活の中で、界面現象を伴わないものは少ないと言えます。 科学が発達していなかった時代の人は、無意識に界面科学を利用していたことでしょう。