滑落角とは?

接触角と滑落角 付着エネルギーE 動的滑落法 滑落接触角計の活用例
 

例えば、フライパンは油を「弾く」ように加工されていて油汚れが「付着しにくく」なっています。 フロントガラスは雨水を「弾き飛ばす」ように処理すればワイパーを使用する必要はありません。 また、撥水加工スーツにコーヒーをこぼしても染みにはなりません。

このような液体と固体の「撥水(撥油)性」」の評価手法として、滑落角の測定が有効です。

質量mの液体を水平な固体表面上に着滴させ、この固体試料を徐々に傾けていきます。傾斜角がαになると、下方へ液滴を引く力が液滴をとどめる力を上回るため、とどまっていた液滴は下方に滑り出し始めます。

この傾斜角(α)を「滑落角」といい、同じ液量では滑落角の小さな表面は液滴除去性が良い(付着しにくい)といえます。

  滑落角のイメージ
 

接触角と滑落角

一昔前までは撥水(撥油)性の評価指標としては、静的接触角が一般的でした。つまり、接触角が90°以上で液滴が丸くなるほど結果は良好とされていました。

ところが液滴を弾くだけではなく、液滴除去性能を求める場合は、必ずしも接触角が高い表面が撥水(撥油)性であるとは限りません。接触角が液滴除去性の指標とならない具体例を以下に示します。

下記はいずれも接触角が100°以上の撥水性を示した固体表面A、Bの比較です。これで見るとBの方が若干高めであり、Bの方がAより撥水性は良いと考えられます。

 
 
水接触角 104.3±0.2 117.8±4.6
 

しかしながら、滑落角を測定し同一液量の滑落角を比較すると明らかにAの方がBよりも小さな滑落角、 つまり滑落性(液滴除去性)が優れていることがわかります。 このことから液滴除去性を目的とした撥水性の評価では、接触角よりも滑落角の方がより直接的な評価 指標として妥当であることがわかります。

  液量と滑落角との関係
 

付着エネルギーE

滑落角で液滴除去性を評価する場合、以下の2 通りが考えられます。

  1. 同じ液量にそろえて滑落角を比較する
  2. 傾斜角を固定して滑落し始める液量

いずれも液量もしくは傾斜角のどちらかをそろえる必要があり、異なる場合は比較することができません。 そこで、液量や傾斜角などに左右されない指標(近似値)が提案されています。

付着エネルギーは、Wolfram が水とパラフィンの滑落角が液滴と固体との接触面の半径rに比例することから実験的に見出しました。具体的には、滑落角αでは液滴の重力の傾斜方向成分と接触円周縁部にはたらく付着力がつり合っていると仮定し、次式が成り立つとします。

滑落角のイメージ

先のA、B の液量と滑落角の関係から上式をもとに、各液量ごとの付着エネルギーEを求めプロットしたものを図に示します。 これを見ると、付着エネルギーE は滑落角に比べてて明らかに液量依存性は小さく、BはAの2倍ほど水との付着性が大きいといえます。 このように付着エネルギーE は液体と固体の組合せだけで一意的に決定される評価指標として期待できます。

  液量と付着エネルギーとの関係
 

動的滑落法

液滴除去性評価手法としては、接触角よりも滑落角(付着エネルギー)が有効であることを前述しました。しかしながら、滑落角は重力の作用に反して、液滴が滑落しないように固体に付着する力の限界を示すものであり、液滴除去のされやすさという意味では、液滴がどれだけ速く滑落するかといった 時間の概念は含まれておりません。つまり液滴の滑落角が低い場合でも、液滴が速く滑落するとは限りません。

たとえば、あらかじめ傾斜角度が決まっているフロントガラスや建物の壁などにおいて、付着した液滴がどのくらいの速さで除去されるかについて、最近では、ある決まった傾斜角度における液滴の「滑落速度」や「滑落加速度」の重要性についても認識されています。

 
動的滑落法
 

滑落接触角計の活用例

 
滑落角、動的接触角ヒステリシス
(前進接触角と後退接触角の差)
  • 半導体液浸リソグラフィー工程におけるスキャン露光時のレジスト表面の水残り防止
  • 基材表面の撥水・撥油性評価全般
 
付着エネルギー
  • 積層セラミックコンデンサにおけるキャリアフィルム上のグリーンシートの膜厚と剥離性制御
 
動的滑落法
  • フロントガラス表面の水滴除去性
  • 建築資材の撥水・撥油性による防汚性向上

 

滑落角が測定可能な装置のラインナップはこちら滑落角が測定可能な装置のラインナップはこちら

PAGETOP